日本からの教育ボランティア
先日、日本からボランティアとして新井さんをお迎えいたしました。
今回の受け入れにあたりましては、学校運営法人Hjallastefnan(ヒャラステフナン)が運営するセルフォス市のÁrbær(アゥルバイル)校プレスクールにご協力をいただき、1週間にわたり教員アシスタントとしてのボランティア活動を行っていただきました。
本日は、活動を終えられた新井さんからいただいたご感想をご紹介いたします。
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「アイスランドで学んだ、子どもを信じる社会」
私は日本で児童福祉の仕事に携わりながら、四人の子どもを育てています。
少し前に児童福祉について調べていたところ、アイスランドでは子どもの主体性やジェンダー平等が自然に育まれていることを知りました。その理由を自分の目で見て、感じ、学びたいと思い、ヒャトリ・モデルの幼稚園でボランティアをさせていただきました。
園で過ごした時間は、毎日が新しい発見の連続でした。
工作コーナーでは、アイスランド語がわからない私に、子どもたちが色の名前を一つひとつ教えてくれました。そして最後には、虹の絵を描いてプレゼントしてくれました。言葉が十分に通じなくても、子どもたちは笑顔や絵で気持ちを伝えてくれます。その優しさに触れ、とても温かい気持ちになりました。
先生方の子どもへの関わり方も印象的でした。大人が決めたりすぐに答えを与えたりするのではなく、子どもが考え、挑戦し、失敗も経験しながら学ぶ姿を見守っています。子どもを一人の人として尊重し、その力を信じて待つ姿勢が、園全体に自然と根付いていました。
また、日本との違いとして驚いたのが、幼稚園で朝食が提供されていることです。保護者は朝、子どもを着替えさせて送り出せばよく、食事まで園で支えてくれます。
仕事をしながら四人の子どもを育てている私にとって、「朝食を準備して食べさせなければ」という負担が一つ減ることが、どれほど大きな支えになるかを実感しました。保護者の負担を軽くすることも、子どもたちの健やかな育ちを支えることにつながるのだと感じました。
先生方が安心して休憩し、心身をリラックスできる環境が整えられていたことも印象的でした。保育者自身が心にゆとりを持って働けることが、子どもたちへの温かな関わりにつながっているのだと感じました。
今回、自然教育についても学ぶ機会がありました。森へ出かけ、歩き、遊び、風の音や鳥の声に耳を澄ませ、自然を全身で感じる時間を過ごしました。
これまで私も、「自然は心に良いもの」という漠然としたイメージは持っていました。しかし実際に体験してみると、それは知識として理解するものではなく、心で感じる学びでした。自然の中では、普段忙しく考え続けている頭ではなく、心がゆっくりと開かれていくような感覚がありました。
大人の私でさえ、これほど心が動かされるのなら、感受性の豊かな子どもたちに与える影響は計り知れないものがあると思います。自然の中で過ごす時間は、知識だけでは育まれない感性や創造力、自分自身と向き合う力を育てているのだと実感しました。
ジェンダー教育についても、多くの学びがありました。
ヒャトリ幼稚園では、ジェンダー教育の一環として男女別のグループで活動しています。私は当初、「男女平等を目指すなら、一緒に活動する方が自然なのではないか」と考えていたため、最初は驚きました。
しかし、園の教育方針を知る中で、その考え方への理解が深まりました。男女が常に一緒にいると、お互いを意識することで、知らず知らずのうちに「男の子だからダイナミックに」「女の子だからおしとやかに」などという役割を演じてしまうことがあります。そこであえて男女別にし、それぞれが固定的な性別役割に縛られることなく、自分らしさを伸ばせる環境を整えているそうです。
実際に園では、「男の子らしく」「女の子らしく」という雰囲気はなく、一人ひとりが自分の興味や気持ちを大切にし、自分の意見をはっきりと言いながら過ごしていました。
今回の経験を通して、ジェンダー平等とは男女をまったく同じように扱うことではなく、一人ひとりが性別にとらわれず、自分らしく成長できる環境をつくることなのだと学びました。
園での日々を通して、私が最も強く感じたのは、「子育ては家族だけが頑張るものではない」ということです。
幼稚園が支え、地域が支え、社会全体が子育てを理解し、助け合う。そのような環境があるからこそ、保護者は無理をしすぎることなく、笑顔で子どもと向き合うことができます。
子どもを支えることは、保護者を支えることでもあります。そして保護者を支えることは、子どもの安心や幸せにつながります。
アイスランドで出会った保育や教育、自然との関わり、ジェンダー教育、そして子育てを支える社会の仕組みは、それぞれが独立しているものではありませんでした。すべてが「子どもを一人の人として尊重し、その可能性を信じる」という考え方でつながっていたように感じます。
国は違っても、子どもを大切に思う気持ちは同じでした。その思いを形にするための仕組みや、社会全体で子どもと保護者を支える環境づくりには、日本が学べることがたくさんあると感じています。
今回のボランティアを通して、教育や子育てに「これが唯一の正解」というものはないことも改めて感じました。しかし、子どもを一人の人として尊重し、その可能性を信じるという姿勢は、国や文化が違っても大切にしたい共通の価値なのではないかと思います。
今回得た学びを、私自身の子育てや、日本での児童福祉の仕事に生かし、一人でも多くの子どもと保護者の笑顔につなげていきたいと思います。
最後になりましたが、温かく迎えてくださったヒャトリ幼稚園の先生方、子どもたち、そしてこの貴重な学びの機会をくださった皆様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。